「はあああああっ!!」
「ちょおおおおおおおおおおお!!?」
気合一発、確実に急所(生命的な)を狙って振り下ろされた一撃に、銀時は瞬間本気で身構えた。
「誰だ!!」
「私だ!!」
「誰だよ!!?」
木の上から降ってきたのは、小柄な少女。見覚えはあるかといわれたら、ない。
「父の多分敵っ!!」
「聞き捨てならないぞオオォオオオォォ!?」
そんな曖昧な理由でどうにかされてはたまらない。
身軽なみのこなしでひょいひょいかわされながらも、銀時は“それ”を確かに目に留めていた。
「…っ、待て、待て待てっ!」
「なんだっ!」
反論など受け付けぬ、そういわんばかりに再び飛び掛ってこようとした相手に、真顔で言う。

「白か…」

「………………っし!!!?」
ばっ、と抑え込んだのは、動きやすいよう短くされた裾だ。
「このっ……貴様はたった今から私の敵だ!!死ねエエェェェェエ!!!」
「さっきと理由変わってんじゃねぇかァっ!?」
ひょいひょい身をかわしながら、ぱしっとこぶしを受け止める。
「……まあ、落ち着けよ。話くらいなら聞いてやる。俺は万屋だ」
「よろ…ずや……?」
期待と不安に満ちた瞳に、銀時は笑顔で応じた。
「うん、白はいいな清潔で。好感が持てるぞ、依頼を受けよう」
「はなせエェェエエエエエエ!!!!」
「ぎゃー!しぬ!それはしぬうううううう!!」

…かくて、賑やかな日常の幕は開いたのである。


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