「あれ?銀ちゃんは?」 「さあ…なんかふらっとどこかに出かけたみたいですけど」 新八の台詞に、ふむと思案する。 「…じゃあ、私もちょっと出かけてくるね。」 「え?どこに…」 「ちょっとそこまでー!」 「っくあ〜…眠ィ。深酒はやめようって思うんだがなァ。思うだけならタダ…ってか」 がしがしと頭をかきながら、大きく伸びをする。 人が住まわず、廃屋となった家の屋根の上で、銀時は目一杯欠伸をした。 「家にいると神楽や新八がまたうるせぇからな…まあ、あいつは……」 あいつは。 なんだかんだ文句を言いつつも介抱してくれるから、いても良かったかもしれない。 ただし、そこにたどり着くまでに試練がどっさりあるわけだが。 よっこいせ、と身を起こす。…風はあたたかく、気持ちよかった。 (…団子でも買って帰るか……) 考えていたら、会いたくなってしまった。…我ながら単純だなあと思う。 「さて、……って、お?」 屋根から降りようとして下を見て、銀時は笑みを浮かべた。 「ついてる」 これなら、障害総スルーでイケる。 「お嬢さーん、そんなに慌てて、どこに行くんだィ?」 上から声をかけてやれば。 「……銀ちゃん!」 そこには、一番見たい笑顔。 ---------------------------------------------------------------- |