「この一杯のために生きている…っ!!」
腰に手を当て、プハァァッ、と息をつく。
カンッ、と置いた缶ビールは、一息でなくなっていた。
「……男らしすぎるのも、考えものだな」
「そう?」
そんな姿を見て、横で赤井がぼそりと呟く。
こんなに開けっぴろげになったのは、つい最近なのだが。
「この一杯のために、か…。他にはないのか」
同じくプルタブを開け、缶ビールを傾けながら赤井が息をついて言う。
「ものの例え、ってやつよ。…秀一ィ、ビールに妬いた?」
「……酔ったのか」
呆れたように返され、けらけらと笑う。
「冗談だってば!…ね、明日休みでしょ?」
そう言って、再び冷蔵庫に手をかけるとひょいと缶ビールを取り出す。

「2本いっちゃいますか?」

ウィンクひとつ。
「…悪酔いしても、知らないぞ?」
「大丈夫。介抱してくれる人がいるから」
「よく言う」
くつくつと、のどの奥で笑う。

この一杯を、一緒に飲んでくれる人がいる。
だから、「この一杯のために」なのよ。ねえ、わかってる?

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