教授の言動には、振り回されてばっかりだ。 言っていることがこの前と違う、なんてことは一般的にあることだけど。 教授の場合は、数分前と違うのだから対応するほうも一苦労である。 「さっきは珈琲のみたいって言ったじゃないですか!」 「でも今は紅茶が飲みたい気分なんだ」 入る予定だった喫茶店を通り過ぎ、彼の視線はもうその先へ向かっている。 全く、ついていくほうの身にもなって欲しい。 「ソメヤ教授っ!」 「あ、こっちだ」 急に方向転換をしたソメヤの動きに、体がついていかない。 「え、そっち!?」 「何やってんだよ。」 ぐい、と。 腕を引かれて、うっかり彼の腕の中に飛び込む。 「わぷ、」 「危なっかしいな。…腕、つかまっといて。」 「え?」 「ああもう、面倒くさい。ほら。」 ぐ、と手と手を握って、そのまま歩き出す。 「ソメ、」 「ん?」 「……いいえ。」 予想不可能な、彼の動きだけど。 (こうしていれば、) きっと一緒に、歩いていける。 ---------------------------------------------------------------- |