「…結論から言おう」
「どうぞ。」
かしこまって言われ、背筋を伸ばす。
そんな姿にため息をつきながら、赤井は言葉を続けた。
「お前以外には、ありえない」
「外部犯の反抗は?」
「そこまでのリスクを負って、何故煙草ケースを回収する必要があるんだ」
「秀一のストーカーかも」
「更にありえないな」
「もしかしたら逆恨み?」
「……埒が明かない。買いに行って来る」
「…だって、煙草は肺がんになるって…みのさんが…」
声色を落とし、観念したように言う。
…要するに、赤井の身を案じてだというのだろうが。
「あのな……捨てるより他に、案はなかったのか?」
頭は大丈夫か、と小さく呟きながらぽんぽんとたたいてやれば、下から反抗的な声が聞こえる。

「耳はいいよ」

「…そうか。耳は、か」
「うん。だからほら、今の小さな呟きも聞こえたんだから」
「……………………。」
それは要するに、すねた、ということか?
「肺がんになったってお見舞い行ってやらないからね!!」
「…わかったわかった。」
そう言ってそっぽを向いている背中を、ぐっと抱きしめる。
「ちょ、」
「       」
「〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!?」
「耳は、いいんだろう?」
「ひきょっ…もの……!!」
からかうように言われて、それこそ耳まで真っ赤に染まってしまって。
本当に、彼には敵いようもないのだと。
…改めて、思い知るのだった。

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