●月■日(雨) 今日は朝から、雨が降っていた。 ハボックが「今日の大佐は無能っスね」とか言ってきた。本当は消し炭にしてやりたかったが、三発殴るだけで勘弁してやった。ふふん、未来の大総統はこれしきのことでは怒らないものだ。さすがは俺、器が広い。 そうだ、今日は中尉が風邪気味でだるそうにしていた。もしかしたら明日休むかもしれない…そしたら林檎でも持ってお見舞いに行こう。 ふふ、また株が上がってしまうな。 そういえば、東洋の国では林檎をうさぎ型にするのがポピュラーらしい。ものすごい技術がいりそうだな…爪まで作るのだろうか。今から練習した方がいいか?中尉とて女性、可愛いものが好きだろうからな。 「大佐」 ふと、頭上から声が聞こえた。 頭をあげると、熱のせいだろう。赤い顔をしたホークアイと目が合った。 「ん?なんだね」 「…何をしていらっしゃるんですか」 「あぁ、日記をだね」 軽く答えた後、足の先から頭の先端まで電流が走った。 (うわぁ…何をあっさり答えてるんだ俺は!仕事してないってのに!) 続いて飛んでくるであろう怒りの言葉を待ち構えていると、意外な返事が返ってきた。 「…そうですか。お仕事もしてくださいね」 言って、ふらふらと立ち去る。ロイは暫くポカンとしてから、おもむろに日記に書き加えた。 今日の帰りに、林檎を買って帰ることにした。今夜練習して、明日は中尉に俺の作った兎林檎を食べさせてやろう。 その日、大量に林檎を抱えて帰るロイの姿が目撃されたと言う。 ---------------------------------------------------------------- 2004.3.26 BACK |