不意打ち





「おや」
「え?」
執務室へ入ってきたホークアイを見て、ロイが不意に声をあげた。
「…なにか?」
ホークアイが聞くと、ロイが手招きして言う。
「ちょっと」
「…?」
逆らう理由もなくホークアイが机の方へ歩いていくと、…突然ロイが立ち上がり、机越しにホークアイの方へと腕を伸ばした。
「…ピアス、変えたのかい?似合っているよ」

「……っ!」

ばっ、と耳を隠してあとずさる。
…たった今まで、ロイが触れていた耳を。



…不意、打ち…だ。



「失礼しますっ!」
ばたん、と荒々しく扉を開け、閉めることすら忘れて立ち去ったホークアイを見て、ロイはクスクスと笑いながら呟いた。
「…可愛いな」
次は、どんなことをしてやろうか。



策士は今日も、企みごとを秘めている。




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2004.5.28


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