当たり前にある、幸せを。





朝起きて、いつも通りに珈琲をいれる。
オーブンにパンを入れて、その間にハムエッグを作ってレタスの横に並べて。ミニトマトを色合いに添えれば、なんでもない朝食の風景がちょっぴり洒落たものになる。
食パンが焼ける頃、ドアが開いて「おはよう」なんて寝ぼけ眼で言って、朝のにおいにちょっぴり嬉しそうな顔をしてくれる。
パンと珈琲、ハムエッグを並べて椅子に座って、声を揃えて「いただきます」なんて言って。いつもと同じ、他愛もない朝の光景の中に一滴の波紋。

「新一、誕生日おめでとう」

ぱくり、と。
食パンをくわえたまま一瞬目を丸くして、すぐに優しく笑う。
「オゥ」
ただ、それだけだけど。
朝の景色に、いつもとはちょっぴり違う色がつく。ちょっぴり違う音が流れる。ちょっぴり違う空気になる。
…幸せが、加速する。

今日はどこかへ出掛けよう。
散歩でもいい。買い物でもいい。二人手を繋いで、歩いて行こう。
…そして、いつもよりほんの少し、大胆に。

愛の言葉を、囁こう。


 

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Happy birthday !!