「はーい、せんせーしつもぉん」

「うむ、なんだねエドワード君?」

「じゃあ駄目な大人ってどんなのですかー?」











「こんな大人になっちゃいけない」











そもそもの始まりは、数十分前。

ハボックを始めとする軍部の面々にエドが子供扱いされたことから始まる。

「ほら、お前まだガキなんだからよ。もっとガキらしくしてろって」

「あーもううるさいな!じゃあどんなのが大人なのか説明してくれよ!!」

…そして軍部の一室を借り切り、急遽『大人とは何たるか』の講義を開くこととなったのだった(暇だな)。

『デートには薔薇の花束(最低30本以上)』

『夕日を見てもバカヤローと叫ばない』

『お酒は二十歳から』

…などとやっていた時。エドが、ハボックに対して冒頭の質問を投げ掛けたのである。

「…そりゃ、アレだよなぁ」

「…だろうな」

「同意します」

「右に同じ」

皆揃って頷くのを見て、エドが首を傾げた。ちなみにアルは、中尉と二人で逃亡中の大佐殿を探している。

「…なんだ?」

「あー、じゃあ見本見せてやるよ」

言って、ハボックがすぅぅ、と深く息を吸い込んだ。

「あぁっ!!こんなところに中尉の飲みかけのマグカップが!!」

どどどどどどどどど…

地鳴りを感じ、エドは思わず立ち上がった。

「…もしかして…」

「予想通りだと思うぜぇ?」

ブレダがにやり、と笑って言う。…思い付く人物は同じらしい。

そこで、ドアがずばんっ!!とすごい音を立てて開いた。

…飛込んできたのは、黒髪黒目、お馴染の…

「ハボック!!それは本当か!!?」

ぜぇー…

ぜぇー…

荒く肩で息をし、今にも倒れそうなロイを見てハボックがエドに向かって言った。

「わかったか?こんな大人になっちゃいけない」

「よぉくわかりマシタ。」

「どーいう、ことだ…?」

「はいはい大佐、本物の中尉が探してますよー」

疑問符を浮かべて立ち尽くすロイをずりずりと引きずり、ハボックは執務室へと向かった。

「え?あ、ちょ!マグカップはーー!?」

…悲痛な叫びを残してロイが消えたあと、エドはファルマンに向かってぼそりと言った。

「…ねぇ、大佐、最近変態度が増してない…?」

「…梅雨が近いですからねぇ…」

そのあとの言葉を聞いて、エドは固まった。

だが、それを問い直そうとしたときには既に部屋はも抜けのから。

…皆戻ってしまったらしい。

「…すげぇこと言うなぁ…」

ファルマンが言ったセリフを思いだし、エドは小さく吹き出した。今度会ったら言ってやろうか。



「いろんなところにカビが生えますからね」



…大佐、頭の中は無事ですか?ってな。





2004.5.3


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