『今日の午後部の前に中庭で逢えないか?』 そんなメールが届いたのが昼休み。自らメールを寄越すことさえ珍しい手塚からの呼び出しに私は少し動揺していた。 …まさか別れ話を切り出される?いや、そんな筈は…。いやしかしあの堅物は全国大会があるからとか何とか言ってばっさり女の子を切れる男だ。有り得る。とてつもなく有り得る。 もしかして此の前菊ちゃんと話してた内容がバレた!?いや、あれは…菊ちゃんさえ口を割らなければ大丈夫。うん、一時の気の迷いだもん!手塚がヅラじゃないかなんてさ! ほら、テニスしてる時髪の毛バッチリ☆靡いてるジャン。飛んでかないジャン。だから違うって結論に至ったんだもん。大丈夫。 じゃあ何だ?他に好きな子が…いや、今だって私を好きである保証はほぼ0っていうかマイナスっていうか…。結構無理矢理付き合ったみたいなもんだから仕方無いけど…。 じゃああれか?マネージャー辞めさせられるとか!?もっと若くて可愛い1年生を見付けちゃったとか!?…だったら仕方無い、か…。 と、浮いたり沈んだりを勝手に一人で繰り返しているうちについに放課後がやってきてしまいまして。 しかも私はきっちりばっちり待ち合わせの中庭に居るわけで。 HR終わるの何で今日に限って早いかなあ…。しかも手塚のクラスはHRが長いことで有名なのに…。 「待たせたな。」 「手塚!」 思わず顔が緩む。だってしょうがないじゃん。あんまりにも手塚が何時も通りで…。 …何時も通り? 「…済まないな、HRが長引いて…」 「あー…いやあ…何時ものことっスけど…」 肩をがっしり両手で掴まれる。おいおい何だあ?付き合って1週間と2日と2時間くらいだけど一度も触れられたことは無かったぞ? そもそもこんなに真剣に見詰められたことだってまだ一度たりとも無い! 「てづ…」 「お前は俺が欲しいと言ったな。」 言ってねえ。 「俺は構わない。だがな、よく考えてみろ。」 何をだ。 「憧れだけではないのか?」 ねぇよ。 かろうじて飲み込みましたが、思わず口調も悪くなりますよ。 っていうかこんな強引な手塚国光は初めてというか、傲慢というか、何ていうの?傍若無人ってこのこと? とにかく、頭でも打ったのか?何かあったのかと訊かなきゃ。 「だからそれが何な…」 「そんなことでは火傷をするぞ?」 ………はい? それ、真顔で言うことですか? っていうかもう何ていうか、吹き出すとか笑うとかひっくり返るとか通り越して思考回路がショートした。呆気に取られて口がぽかんと開いてしまう。 「確かに俺達は付き合って1週間と2日と3時間あまりの関係だが…」 2時間くらいね。(重要ポインツ) 「この眼鏡をかけてこれからの俺達を変えて、油断せずに行こう!」 言ってることにもはや脈絡が無いんですが大丈夫ですか手塚さん。 っていうか何その思いっきり自分のかけてる眼鏡の色違いっぽい眼鏡。私視力両目とも1.5なんですけど。 「安心しろ。レンズに度は入っていない。」 伊達ですか。私は某関西人ですか。っていうか心の声聞こえましたか。 「…これ、私にかけろって?」 恐る恐る訊いてみればこくりと頷く。こうなった手塚は梃子でも動かない。こういう所は私のよーっく知っている手塚だ。 「さあ、さあ!」 そう強要する手塚に何故か私はあっさりと眼鏡をかけてしまった。 +++ 「で、その後手塚が「ダテメガネーゼェェェェ!!!」って夕日に向かって叫ぶ夢を見たんだけどさ。」 「…グラウンド10万周して来い。」 ---------------------------------------------------------------- いやぁぁぁぁほーちゃありがとう大好き!!(笑)元はといえばこの曲を進呈した私に非があるわけですが(非とか言うな)、ここまで素敵なものに仕上げてくれるなんてさすがはほーちゃん。愛してる!(笑) そんな素敵ほーちゃ小説に挿絵をつけてみた。→ネタ! BACK |