「ずーいずーいずっころばしごーまみそずいっ」
「ズゥイズゥイ…ズッカリバス?」
「ずっころばし!」
「ズ…ズッ、コロ、バスィ…?」
飛源がこぶしを突きだし、歌いながらその中に指を入れる。オールグレンもまた、同様だった。
「はい、また勝ち!」
「これは…」
同じところから始めれば、終わりもいつも同じになるのは当然だ。つまり、一度飛源が勝てば、ずっと勝ち続けることになる。
(勝てないじゃないか)
四回目になり、ようやくそのことに気付いた。だが、それは決して不快なことではなく…むしろ愉快だと感じるのだから、不思議だ。
「Wow, you're on a winning streak.」(さすが、連戦連勝ですね)
「え?」
「さすが、ですね」
「へへっ」
もしかしたら、本人もそれに気付いていないのかも知れない。本当に嬉しそうだ。
なんとなく顔を見合わせて笑っていると、二人がいる縁側を信忠がひょいと覗いた。
「飛源、オールグレンさん、夕飯です」
「「はい」」
それを聞いて、信忠は一瞬きょとんと目を見張った。
「ははははは!」
同時に返事をしたのが、よほどおもしろかったらしい。声を上げて笑う信忠を見て、飛源とオールグレンもつられて笑いだした。…戻ってこない信忠にしびれを切らしたのだろう。とうとうたかが顔を出し、3人に声をかけた。
「何をしているの、夕飯ですよ」
「「「はい!」」」
…どうにも、笑い声はしばらく止みそうにない。




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2004.6.4



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