空のそれとも、海のそれとも違う。強いて言うなら、空と海を足したような。そんな深い蒼が、好きだった。 「…そうですか?」 私がそう言うと、楊ゼンが不思議そうにそう返してきた。さらさらと梳いていると、なんだか悔しい。なんてきれいな髪なんだろう。 「…ねえ、楊ゼンさん?」 「なんですか?」 ゆるゆると流れる時の中、ただそれに身を任せ。私は、真剣な眼差しで聞いた。 「私もいつか、そんな髪になれるでしょうか?」 心の底から真剣に言ったのに、楊ゼンはぷっと吹き出した。 「わっ…私は真剣なんですよ!?」 「はいはい。…お前の髪は、」 そう言って、優しく頭を撫でられる。…この瞬間が、たまらなく好きだ。 「もう十分に、綺麗だよ」 「…そんなこと、ないです…」 ぶつぶつ言ってみても、すべては穏やかな笑顔で流されてしまう。そしてそれを、心地よく感じてしまうから不思議で。 …私は、この時間がたまらなく好きだ。 ------------------------------------------------------------ |