「あったまきた!!今日こそは許さない!!!」
「おうおう、俺も別に許してくれとは言わねーぜ」
「…実家に帰らせていただきます!!」
「その実家に帰る金がないから居候してんじゃねーのか」
「…………あぅ」
図星をつかれ、力なく座り込む。…そうだ、結局、喧嘩をしようが食べ物がなかろうが犬くさかろうが、この家以外に行くところなどないのである。
「…銀ちゃんがね、もう少しまともにお給料払ってくれればいいんだよ?」
「食費と光熱費でパァだ」
「そんなに食べてない!」
「しずかちゃんレベルに毎日風呂に入ってるだろ〜」
「入ってないし!!」
何を言っても暖簾に腕押し。
論破は諦めて、(喧嘩の続きも諦めて)新八と神楽が帰ってきた時用の茶菓子の準備を始めた。
「お、準備がいいね」
「そうしないと、新八くんも神楽ちゃんも大騒ぎしちゃうから」
その喧騒に巻き込まれるのは自分だ。ならば、そうなる前になんとか回避したいではないか。
「どーせ銀ちゃんにとっては私なんか生活の端の端みたいなもんなんでしょーけどね、これでも私は私なりに快適に暮らそうとしてるんです」
ぶつぶつ言っていると、にわかに玄関が賑やかになってくる。
「あ、帰ってきた!」
二人を迎えに出て行った後姿を見送って、銀時は小さく呟いた。
「…バーカ。端の端なんか俺は気にも留めねーっつーんだ。おめーはなァ、」
言って、読みかけのジャンプを机の上に伏せる。


「むしろ中心だよ」





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