何が入っているかわからない、とても小さな箱をもらった。
それでも、彼に「何か」をもらえたことが嬉しくて。
私はとてもはしゃいでいた。
「ありがとう、快斗!」
「なんだかなあ。そんなに喜ばれるとなあ」
ばつが悪そうに言って(あとでその意味を知ることになる)、快斗はそっぽを向いた。
「いいじゃん、喜んだって。ねえ、開けていい?」
「好きにしろよ」
(なんだろ、)
中のものがわからないものを開けるときのこの高揚感は、何物にも代えがたい。
強いて言うなら、幼い頃の、イヴの翌朝、枕元を見たときの感覚。
「……っ」
リボンを解いて、ついに、箱の蓋に手をかけた瞬間。
「あのなー。それなー。あけてもいいけどなー」
「え?」
快斗の声が聞こえたときには、既に、手は動きを止められないところまで進んでいて。

「あけたら爆発するから。」

「…は?」
その言葉の意味は、頭よりも体の方が早く理解した。

ぼぼぼぼぼぼぼぼぼんっ!!!!!

「きゃあああああっ!!?」
ビックリ箱よろしく、箱が折り紙やら鳩やらを爆発させる。
危害はないが、心臓の弱い方はご注意ください、といったレベルではある。

「早く言ってよね!!」

呆然→怒り、へと見事に変貌した私が放った第一声はソレだった。
「ケッ、ひっかかるほうが悪いんだろ。オレはマジシャンだ!」
「だからなに!?全世界のマジシャンに謝りなさいよ!!」

そのまま箱を手放して、快斗を追いかけることに専念してしまったから。
彼なりの照れ隠し、箱の底の小さな輝きに気付けたのは、もっとずっとあとだった。




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