「いいかーアル、そっとだぞ、そっと」
「や、やめようよ兄さん…絶対怒られるって!」
金髪の、まだ幼い兄弟が二人。そっと、そっと…やはり金髪の、眠っている少女へと近付いていった。
「絶対かんかんに怒るって!」
「けどさー、お前だって見てみたいだろ?」

ウィンリィが、どんな反応するか。

そう言って、少年は―――エドは、にっと笑った。
「おーっし、んじゃアル、お前やれ」
「ええっ!?嫌だよ!」
アルと呼ばれた少年は、あからさまに嫌な顔をして首をぶんぶん横に振る。それを見て、エドはちぇっと舌打ちをして、自分の手で“それ”をそっと…
ウィンリィの方へと差し出し…ばっ、と放り投げた。
「きゃっ!!…えっ、てヘビ〜〜〜!!?」
正確には、おもちゃである。だが、それを見て青くなって飛び起きたウィンリィを見て、エドはお腹を抱えて笑い転げていた。…アルはというと、兄とは違って青くなって慌てている。
「〜〜〜エド、アルっ……!!」
怒気をはらんだ声で言うと、ウィンリィはゆうらり、と立ち上がった。…その手にはスパナ。
「あは、あははは…っ、て、うわっ!」
それを見て、エドは慌ててアルの腕をひっ掴んで走り出した。…笑顔は、浮かべたままだったけれど。



「逃げろ!!」



「待ちなさーい!!」
「待てと言われて待つやつはいないんだよ!」

…兄弟の頭にスパナが炸裂するのは、それから数分後。




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2004.5.22


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