…君は、私に呆れて笑うだろうか。




「……いや。笑っても、くれないだろうね」
きっと、君なら怒る。何故そんなことをするのかと。つかみかかってくるかもしれないね。…口も、きいてくれないかな。
「……けれどね」

君が、悪いのだよ。

「貴様…裏切ったのか!?」
「ちっ…違う!俺はなにもしていない!!」
「嘘をつくな!密告があった…貴様が我が国を裏切ったと」
「嘘だ!そんなっ…」
「ふん、貴様がついた国に戻って伝えるがいい。全面戦争だと!!」

人は、愚かだ。
幾度世界が滅びの危機を迎えていようと、やむことのない花が降り積もったとしても、…私利私欲のために、簡単に人を殺す。
そして、軽く背中を押してやるだけで、それは容易く戦争という名の大量殺戮に変わるのだ。
(君が……君が、あんな、約束をさせるから。)
「君が………」

次の俺が生まれても

その次の俺が生まれても……

黒鷹。

「……ははっ。愚かなのは、私か?」
人間などより、よほど。
「君を…君との約束を守る限り、私は君にとって、」
君にとって。
「……不吉を呼ぶ、黒の鳥でしかないのに。」
ああ、それだというのに。

「私はね、君に会いたいと思ってしまうのだよ。」

玄冬。
君を殺すためだけに存在している私は、君を殺すためだけに大量殺戮を起こしているんだ。
私は一体、

「何の為に、ココにいるのか。」

存在意義すらも、既にあやふやで。
けれど、答えを知るものはココにはいなくて。
「………主。あなたの創ったこの箱庭は、し」
……いや。
「…………本当に」
醜い世界だ。
だが、どんなに醜くても。
君が守ろうとした、守り抜いた世界だ。そして、これから先も。

「………ああ、玄冬。戦争が始まったようだよ。もうすぐ、」


…また、君に会えるね。




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